皆さんの税務調査や税務署へのイメージとはどういったものでしょうか。
突然、黒スーツを来た数十人の税務署職員が会社に突然押し寄せて、
書庫だけでなく机の引き出しや、花瓶などをひっくり返し、
大量の書類を段ボールに入れて持って帰る、
このように思われている方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、このようなケースはほんとにまれで、
犯罪的な脱税をしているような場合に限られると思ってもらってもよいかと思います。
これは査察案件という、通常の税務調査とは異なる強制調査の刑事事件を対象としたものですね。
通常は任意調査といって、ちゃんと事前に電話がかかってきて、
税務調査の日程の調整を行い、それから2名ほどの調査官がやってきて、
質問形式、帳簿書類や領収書などの資料を談笑しながら、
約2日かけて丁寧に調べていくスタイルがほとんどです。
もちろん予告無しで来るケースもありますが、会社内をひっくり返されて調べられるということはありません。
昔はどうだったのかわかりませんが、今は税務調査に対する透明性や納税者の予見可能性を高めるということで、
きちんとした手続を踏んで行われますし、大声をあげての恫喝するような高圧的な調査は、
ほとんど行われなくなったといってよいかと思います。
つまりタイトルにあるように、怒鳴られるようなことはそんなにないということですね。
すでに数十年税理士業務をされている先生とお話した際にその先生がおっしゃっていたのが、
最近の調査官はサラリーマン化しており、淡々と業務をやって、
無理やりこじつけでもいいから税金をもっていくというようなことも
しなくなってきている傾向にあるとのことでした。
ただ、これは私が別の組織にいた際に起こったことですが、
納税者が少し負い目があるところで議論になり、それが白熱して語気を荒げたところ、
その調査官も負けずに強い口調で主張していたということがありました。
相手会社に来て調査をするというアウェーな立場にもかかわらず、
そういった納税者の態度に屈せず、調査官としての仕事を果たそうという姿勢は、
(敵ながら)立派なものだと感心したものです。
たしかに1日目の午前中は談笑しながら和やかに進んでいくのですが、
午後からの実際の帳簿や書類の調査が始まったのちは、
判断に迷うような取引の検討になったときには手を緩めず、
厳しい質問をしてくるので、こちらとしても気を抜くことはできません。
最後に、では会社を設立してからどのくらいで調査にくるのかということですが、
だいたい概ね5年~7年経過したのちになるのが一般的です。
もちろん1年でくるようなこともあるので、
きちんと対応できるように、毎年毎年帳簿や書類の整理をきちんとしておく必要があります。
調査のときこそ税理士の見せ場でありますので、
私もこの時は全力で対決するくらいの気持ちで臨んでおります。
ただ、継続関与しているような顧問先の場合は、
事前事前に調査でみられることを前提に対応しているので、
そんなに大きなもめごとになるようなケースはほとんどないかと思っています。
日々の税務上の処理は、この税務調査の時のために行っているようなものですので、
日ごろから税法や実務的な判断について十分に理解して、
処理しておく必要があるということですね。