消費税アップ?ああ、いいよ前の値段のままで、と経営者がいってしまうことの危険性について

今日から消費税率が5%から8%にアップしますが、経営者側としては、
消費者に消費税分を含めて請求する立場にあるかと思います。

もしあなたが例えば飲食業で起業を考えている場合、
「やっぱりお客さんの生活もきついだろうから、
消費税率がアップされても前の5%分の時の値段据え置きでいくか」、
なんて安易な考えをしてしまうと、会社の存続自体が危ぶまれることもでてくる可能性があります。

たった3%を請求するかしないかで、そこまで変わるのかというのがピンとこないかもしれませんが、
やはり実際に数値で見ていくとよくわかるものです。

たとえば、年間売上が税込2,205万円(消費税は5%であれば消費税分105万。
税抜売上は2,100万円)、材料費が売上の約3割ということで630万円、
人件費が同じく約3割ということで630万円、諸経費が約3割で630万とすると、
会社に残る営業利益が税抜売上2,100万から上記各種経費を引いて
210万になります(売上高営業利益率は210万÷2,100円=10%)。

これが消費税8%となった場合で消費税増税分を据え置きとしてしまうと、
年間売上2,205万円の8%消費税分は163万円になるので、
税抜売上が2,042万円に減少することになります。
その他の各種経費は変わらないとすると営業利益は差引で152万円となってしまいます
(売上高営業利益率は152万÷2,042万=7%)。

つまり、増税分3%を請求しなかっただけで、210万あった利益の約30%が吹っ飛び
152万となるということが起こるのです。
大雑把に理解するのであれば、消費税を会社負担とすると、
その負担率だけ営業利益率が減少することとなります。
仮に営業利益率が2%の会社であれば、
それだけで営業利益がマイナス、つまり赤字会社に転落するわけです。

増税ということで値上げしてしまうと客数減になるため、
値上げしないという判断もあるかと思いますが、
単純に増税分を自社で負担するという考えは避けなければなりません。
これは、例えば千円未満端数の安易な切捨てや、
何の考えもない10%引きクーポンの発行の場合にも同様のことが言えます。

もちろん、価格戦略を組み立てたうえでの消費税分自社負担というのは十分考えられますが、
それはあくまで会社に利益が最大限残るという理由から実行されるべきものということですね。