がんばって事業を拡大し売り上げを増やしていくと、
なぜか手許のお金が減っていくという不思議なことが起こります。
このことは、感覚としてはなかなか掴みづらいのですが、
実際に数値で見ていくと、よくわかります。
例えば物を仕入れて、それを販売するという事業をおこなっていたとします。
事業の立ち上げ時は仕入とほぼ同時に代金を支払うということも多いかと思いますので、
仕入に係る支払はそのタイミングであるとしましょう。
一方、売る方としては、物を仕入れてそれが売れるまで例えば1か月かかるとして、
その代金回収には、例えば末締め翌月末払い条件とすると、
さらにもう1か月かかることになります。
大雑把にいってしまうと、この仕入代金の支払いから、
売上代金の回収までのタイムラグが運転資本というもので、
この例だと月の売上の約2ヶ月分がギャップとしてあるということなります。
つまり当初月商100万円だった場合、100万×2ヶ月=200万の穴が必然的にあきますので、
この分を自己資金かもしくは借入れで補わなければなりません。
そしてここからが重要なのですが、がんばって事業拡大し月商100万円から150万円に増やした場合、
上記の2ヶ月のタイムラグというのは依然として変わらないので、
150万×2ヶ月=300万の運転資本が必要となり、
月商100万時代に比べて追加で100万円お金が必要となってくるわけです。
こういった理由から、売り上げが増えると手許の現金が減っていくわけですね。
この運転資本の増加を、利益の留保分と追加借り入れ、
もしくは仕入先や販売先への支払・回収条件の改善で補っていく必要があります。
こういった考えは係数的な経営判断といってもいいかもしれません。
上記のようなことは、利益計画と資金計画を立てれば把握できることですので、
これから起業しようという方は面倒でも一度はトライアルで作成してみるというのをお勧めいたします。
自分が想定していた結果と、意外にギャップがあることに気付くことができるかもしれません。